易経全文
以下は中国語の古典原文です。
1. 乾・創造
卦辞元亨利貞。
大いに通じる。正しさを守ることがよい。
初爻(陽)潛龍勿用。
潜む龍。まだ力を用いない。時を待ち、力を蓄える。
二爻(陽)見龍在田,利見大人。
龍が田に現れる。徳と地位のある人に会うとよい。
三爻(陽)君子終日乾乾,夕惕若,厲无咎。
終日励み、夜も用心する。危うくても、そうすれば咎はない。
四爻(陽)或躍在淵,无咎。
淵で躍ろうとする龍。進退を見極めて試みれば咎はない。
五爻(陽)飛龍在天,利見大人。
龍が天を飛ぶ。力を発揮する時。大人に会うとよい。
上爻(陽)亢龍有悔。
高ぶりすぎた龍には悔いがある。進みすぎを戒める。
用九見群龍无首,吉。
龍たちが誰も首領を争わない。剛さに柔らかさを備えて吉。
2. 坤・受容
卦辞元亨,利牝馬之貞。君子有攸往,先迷後得主,利。西南得朋,東北喪朋。安貞吉。
大いに通じる。牝馬のように従順に正しさを守るとよい。先立つと迷い、後に従えば主を得る。西南では仲間を得、東北では失う。安らかに正しさを守れば吉。
初爻(陰)履霜,堅冰至。
霜を踏めば、やがて堅い氷が来る。小さな兆しを見逃さない。
二爻(陰)直方大,不習无不利。
まっすぐで、方正で、大きい。自然にその徳を保てば不利はない。
三爻(陰)含章可貞。或從王事,无成有終。
才能を内に含み、正しく守る。王の仕事を助け、功績を独占せず最後まで果たす。
四爻(陰)括囊,无咎无譽。
袋の口を縛る。言動を慎めば咎も誉れもない。
五爻(陰)黃裳,元吉。
黄色の下衣。尊い位置でも謙虚に中道を守れば大吉。
上爻(陰)龍戰于野,其血玄黃。
龍が野で戦い、血が流れる。極まった力同士の争いは双方を傷つける。
用六利永貞。
長く正しさを守ることがよい。柔順さの中に強さを備える。
3. 屯・始まりの難しさ
卦辞元亨利貞。勿用有攸往,利建侯。
大いに通じる。正しさを守るとよい。軽々しく進まず、助ける人を立てるとよい。
初爻(陽)磐桓,利居貞,利建侯。
進めず留まる。正しい志を守り、仲間を立てるとよい。
二爻(陰)屯如邅如,乘馬班如。匪寇婚媾,女子貞不字,十年乃字。
車馬が進めない。相手は盗賊ではなく求婚者。今は結ばず、長い時を経て結ばれる。
三爻(陰)即鹿无虞,惟入于林中。君子幾不如舍,往吝。
案内なく鹿を追えば林で迷う。兆しを知って追うのをやめる。進めば恥を招く。
四爻(陰)乘馬班如,求婚媾。往吉,无不利。
車馬が進めない。協力者を求めて進めば吉。不利はない。
五爻(陽)屯其膏,小貞吉,大貞凶。
恵みが行き渡らない。小事は正しく守って吉だが、大事を固守すれば凶。
上爻(陰)乘馬班如,泣血漣如。
車馬が進めず、血の涙を流す。孤立して動けない窮状。
4. 蒙・学びの始まり
卦辞亨。匪我求童蒙,童蒙求我。初筮告,再三瀆,瀆則不告。利貞。
通じる。こちらが未熟な者を求めるのではなく、未熟な者が教えを求める。初めの問いには告げるが、繰り返して乱す問いには告げない。正しさを守るとよい。
初爻(陰)發蒙,利用刑人,用說桎梏,以往吝。
蒙昧を開くには規律が必要。ただし束縛を解くためのもの。罰し続ければ恥を招く。
二爻(陽)包蒙吉,納婦吉,子克家。
未熟な者を包容すれば吉。伴侶を迎えて吉。家を担う力が育つ。
三爻(陰)勿用取女,見金夫,不有躬,无攸利。
富や力を見て自分を失う相手を迎えない。そのような結びつきは利にならない。
四爻(陰)困蒙,吝。
学びから遠く孤立する。蒙昧に閉じこもれば恥を招く。
五爻(陰)童蒙,吉。
幼子のように素直に学ぶ。吉。
上爻(陽)擊蒙,不利為寇,利禦寇。
蒙昧を厳しく戒める。侵すためでなく、侵害を防ぐために力を用いる。
5. 需・待つ
卦辞有孚,光亨,貞吉。利涉大川。
誠があれば明らかに通じる。正しく守れば吉。大河を渡るような大事にもよい。
初爻(陽)需于郊,利用恆,无咎。
郊外で待つ。日常の務めを長く守れば咎はない。
二爻(陽)需于沙,小有言,終吉。
砂地で待つ。小さな非難はあっても最後は吉。
三爻(陽)需于泥,致寇至。
泥の中で待ち、敵を招く。危険に近づきすぎている。
四爻(陰)需于血,出自穴。
血の中で待つが、穴から抜け出す。危険から退く。
五爻(陽)需于酒食,貞吉。
酒食を整えて待つ。正しく守れば吉。
上爻(陰)入于穴,有不速之客三人來,敬之終吉。
穴に入ると、招かない客が三人来る。敬意をもって迎えれば最後は吉。
6. 訟・争い
卦辞有孚窒惕,中吉,終凶。利見大人,不利涉大川。
誠があっても妨げられる。警戒して途中で止めれば吉、最後まで争えば凶。大人に会うとよい。大河を渡るのはよくない。
初爻(陰)不永所事,小有言,終吉。
争いを長引かせない。小さな非難があっても最後は吉。
二爻(陽)不克訟,歸而逋,其邑人三百戶,无眚。
争いに勝てず、退いて逃れる。小さな里に身を置けば災いは免れる。
三爻(陰)食舊德,貞厲,終吉。或從王事,无成。
受け継いだ徳と職分を守る。危うくても正しく守れば最後は吉。功を独占しない。
四爻(陽)不克訟,復即命,渝安貞,吉。
勝てない争いをやめ、正しい道に戻って落ち着けば吉。
五爻(陽)訟,元吉。
公平に争いを裁く。大吉。
上爻(陽)或錫之鞶帶,終朝三褫之。
争って褒賞を得ても、一日のうちに三度奪われる。勝利は長続きしない。
7. 師・統率
卦辞貞,丈人吉,无咎。
正しさを守り、経験と徳のある指導者を立てれば吉。咎はない。
初爻(陰)師出以律,否臧凶。
軍を出すには規律が必要。統制がなければ凶。
二爻(陽)在師中,吉无咎,王三錫命。
軍の中で責任を果たす。吉で咎はなく、王から重ねて命を受ける。
三爻(陰)師或輿尸,凶。
軍が死体を運ぶ。指揮を誤り、敗れる凶相。
四爻(陰)師左次,无咎。
軍を退いてとどめる。適切な撤退には咎がない。
五爻(陰)田有禽,利執言,无咎。長子帥師,弟子輿尸,貞凶。
田に獲物がいる。正当な対処には咎がない。経験者に指揮させ、未熟な者に任せない。
上爻(陰)大君有命,開國承家,小人勿用。
大君が功に応じて国や家を授ける。小人を重用してはならない。
8. 比・親しみ
卦辞吉。原筮元永貞,无咎。不寧方來,後夫凶。
親しみ助け合えば吉。志と徳が長く正しいかを確かめれば咎はない。不安な者も集まるが、時を失って遅れる者には凶。
初爻(陰)有孚比之,无咎。有孚盈缶,終來有它,吉。
誠をもって親しめば咎はない。誠が器いっぱいなら、思いがけない吉も来る。
二爻(陰)比之自內,貞吉。
内から誠実に結びつく。正しく守れば吉。
三爻(陰)比之匪人。
親しむべきでない人に近づく。相手を見極めること。
四爻(陰)外比之,貞吉。
外の賢明な人と親しむ。正しく守れば吉。
五爻(陽)顯比,王用三驅,失前禽。邑人不誡,吉。
公明に親しむ。王の狩りは一方を開け、去る者を追わない。強制しなければ吉。
上爻(陰)比之无首,凶。
親しむ中心がない。結びつきの始めを誤れば凶。
9. 小畜・小さな蓄え
卦辞亨。密雲不雨,自我西郊。
通じる。西の郊外に雲が密集しているが、まだ雨は降らない。
初爻(陽)復自道,何其咎,吉。
自分の道に戻る。何の咎があろう。吉。
二爻(陽)牽復,吉。
仲間に引かれて共に戻る。吉。
三爻(陽)輿說輻,夫妻反目。
車の軸が外れ、夫婦が反目する。無理に進むと関係も壊れる。
四爻(陰)有孚,血去惕出,无咎。
誠があれば血傷を免れ、恐れが去る。咎はない。
五爻(陽)有孚攣如,富以其鄰。
誠をもって結び、隣人と豊かさを分かち合う。
上爻(陽)既雨既處,尚德載。婦貞厲,月幾望,君子征凶。
雨が降り、動きが止まる。徳を積んだ成果。ただし満月に近いように満ちすぎを戒め、さらに進めば凶。
10. 履・慎重な歩み
卦辞履虎尾,不咥人,亨。
虎の尾を踏んでも噛まれない。慎重に礼を守れば通じる。
初爻(陽)素履,往无咎。
飾らず自分の分を守って進む。咎はない。
二爻(陽)履道坦坦,幽人貞吉。
平らで広い道を歩く。静かに正しさを守る人は吉。
三爻(陰)眇能視,跛能履,履虎尾,咥人,凶。武人為于大君。
よく見えず、よく歩けないのに無理をする。虎の尾を踏んで噛まれる。凶。
四爻(陽)履虎尾,愬愬終吉。
虎の尾を踏む危うさを恐れ慎む。最後は吉。
五爻(陽)夬履,貞厲。
決断して歩む。正しくても危険への警戒は必要。
上爻(陽)視履考祥,其旋元吉。
自分の歩みと兆しを振り返る。終わりまでよく確かめれば大吉。
11. 泰・通じ合う
卦辞小往大來,吉亨。
小さなものが去り、大きなものが来る。吉。通じる。
初爻(陽)拔茅茹,以其彙,征吉。
茅を抜くと根がつながって仲間も抜ける。仲間と進めば吉。
二爻(陽)包荒,用馮河,不遐遺,朋亡,得尚于中行。
広く包容し、困難を渡り、遠い人も見捨てない。私情に偏らず中道を行く。
三爻(陽)无平不陂,无往不復。艱貞无咎。勿恤其孚,于食有福。
平らな道にも坂があり、去ったものは戻る。困難にも正しさを守れば咎はない。
四爻(陰)翩翩,不富以其鄰,不戒以孚。
身軽に降り、富に頼らず隣人と誠実に交わる。
五爻(陰)帝乙歸妹,以祉元吉。
帝乙が娘を嫁がせる。尊い者がへりくだって結び、大いに吉。
上爻(陰)城復于隍,勿用師。自邑告命,貞吝。
城壁が堀に崩れる。兵を用いず、身近なところで命を整える。固守しても恥が残る。
12. 否・閉塞
卦辞否之匪人,不利君子貞,大往小來。
人の道が通じない。君子の正しい志は今は通りにくい。大きなものが去り、小さなものが来る。
初爻(陰)拔茅茹,以其彙,貞吉亨。
茅の根が仲間とつながる。共に正しさを守れば吉で通じる。
二爻(陰)包承,小人吉,大人否亨。
包み従う。小人には吉でも、大人は閉塞を安易に受け入れず、道を守る。
三爻(陰)包羞。
恥を包み隠す。行いの不当さを省みる。
四爻(陽)有命无咎,疇離祉。
正しい命に従えば咎はない。仲間も福を受ける。
五爻(陽)休否,大人吉。其亡其亡,繫于苞桑。
閉塞を止める。大人は吉。滅びるかもしれないと警戒し、根深い桑に結ぶように備える。
上爻(陽)傾否,先否後喜。
閉塞を覆す。初めは塞がるが、後には喜びがある。
13. 同人・志を共にする
卦辞同人于野,亨。利涉大川,利君子貞。
野に出て広く人と和すれば通じる。大河を渡ることによい。君子が正しさを守るとよい。
初爻(陽)同人于門,无咎。
門を出て人と和す。咎はない。
二爻(陰)同人于宗,吝。
一族だけで和す。狭い仲間意識は恥を招く。
三爻(陽)伏戎于莽,升其高陵,三歲不興。
草むらに兵を伏せ、高い丘に登る。疑いのため長く動けない。
四爻(陽)乘其墉,弗克攻,吉。
城壁に登っても攻めない。争いを思いとどまれば吉。
五爻(陽)同人先號咷而後笑,大師克相遇。
初めは泣き叫び、後には笑う。大きな困難を越えて出会う。
上爻(陽)同人于郊,无悔。
郊外で人と和す。大きな交わりには届かなくても悔いはない。
14. 大有・豊かさ
卦辞元亨。
大いに通じる。
初爻(陽)无交害,匪咎,艱則无咎。
害に関わらない。苦労を忘れず用心すれば咎はない。
二爻(陽)大車以載,有攸往,无咎。
大きな車に荷を積む。力に応じて進めば咎はない。
三爻(陽)公用亨于天子,小人弗克。
公が天子に献上する。私利だけの人にはその役は果たせない。
四爻(陽)匪其彭,无咎。
盛大さを誇らない。咎はない。
五爻(陰)厥孚交如,威如,吉。
誠実に人と交わり、威厳も保つ。吉。
上爻(陽)自天祐之,吉无不利。
天の助けを受ける。吉で、不利はない。
15. 謙・へりくだる
卦辞亨,君子有終。
通じる。君子は終わりまでやり遂げる。
初爻(陰)謙謙君子,用涉大川,吉。
謙虚さを重ねる君子。大河を渡る難事にもよく、吉。
二爻(陰)鳴謙,貞吉。
謙虚さが周囲に伝わる。正しく守れば吉。
三爻(陽)勞謙,君子有終,吉。
功労があっても謙虚な君子。終わりまで全うして吉。
四爻(陰)无不利,撝謙。
謙虚に振る舞う。不利はない。
五爻(陰)不富以其鄰,利用侵伐,无不利。
富に頼らず隣人と協力する。必要な是正を行うによく、不利はない。
上爻(陰)鳴謙,利用行師,征邑國。
謙虚さが知られる。力を用いるなら、まず自分の治める領域を正す。
16. 豫・備えと喜び
卦辞利建侯行師。
人を立て、軍を動かすような共同の行動によい。
初爻(陰)鳴豫,凶。
喜びを自慢して声にする。浮かれれば凶。
二爻(陰)介于石,不終日,貞吉。
石のように確かで、一日も待たず兆しを見抜く。正しく守れば吉。
三爻(陰)盱豫,悔。遲有悔。
上の顔色をうかがって楽しむと悔いる。決断が遅れても悔いが残る。
四爻(陽)由豫,大有得。勿疑,朋盍簪。
喜びの中心となり、大いに得る。疑わなければ仲間が集まる。
五爻(陰)貞疾,恆不死。
長く病むように妨げられるが、滅びはしない。
上爻(陰)冥豫,成有渝,无咎。
楽しみに暗くなる。行き過ぎても改めれば咎はない。
17. 随・従う
卦辞元亨利貞,无咎。
大いに通じる。正しさを守るとよく、咎はない。
初爻(陽)官有渝,貞吉。出門交有功。
立場や役割が変わる。正しく守れば吉。門を出て広く交われば成果がある。
二爻(陰)係小子,失丈夫。
幼い者に執着すると、成熟した助けを失う。
三爻(陰)係丈夫,失小子。隨有求得,利居貞。
成熟した人に従えば、幼い依存を手放す。求めるものを得ても正しさを守る。
四爻(陽)隨有獲,貞凶。有孚在道,以明,何咎。
従って成果を得ても、執着すれば凶。誠実で道が明らかなら咎はない。
五爻(陽)孚于嘉,吉。
よいものを誠実に信じる。吉。
上爻(陰)拘係之,乃從維之。王用亨于西山。
固く結びついて離れない。王が西山で祭るほどの深い誠意。
18. 蠱・立て直し
卦辞元亨,利涉大川。先甲三日,後甲三日。
大いに通じる。大河を渡るような仕事によい。改める前後にもよく備える。
初爻(陰)幹父之蠱,有子,考无咎,厲終吉。
父が残した問題を直す。責任を継ぐ人がいれば先人に咎はない。危うくても最後は吉。
二爻(陽)幹母之蠱,不可貞。
母が残した問題を直す。強引に正しさを押しつけない。
三爻(陽)幹父之蠱,小有悔,无大咎。
父が残した問題を直す。小さな悔いはあっても大きな咎はない。
四爻(陰)裕父之蠱,往見吝。
父の問題を寛大に放置する。進めれば恥が現れる。
五爻(陰)幹父之蠱,用譽。
父の問題を直し、誉れを得る。
上爻(陽)不事王侯,高尚其事。
王侯に仕えず、自分の志を高く保つ。
19. 臨・近づく
卦辞元亨利貞。至于八月有凶。
大いに通じる。正しさを守るとよい。ただし八月に至れば凶がある。好機は永遠ではない。
初爻(陽)咸臨,貞吉。
誠実に感じ合って近づく。正しく守れば吉。
二爻(陽)咸臨,吉无不利。
感じ合って近づく。吉で不利はない。
三爻(陰)甘臨,无攸利。既憂之,无咎。
甘い言葉で近づくのは利にならない。問題を憂えて改めれば咎はない。
四爻(陰)至臨,无咎。
自ら至って人に近づく。咎はない。
五爻(陰)知臨,大君之宜,吉。
知恵をもって臨む。大君にふさわしく吉。
上爻(陰)敦臨,吉无咎。
厚い心で人に近づく。吉で咎はない。
20. 観・よく見る
卦辞盥而不薦,有孚顒若。
祭りの前に手を清め、まだ供え物はしない。誠と厳かな心で見つめる。
初爻(陰)童觀,小人无咎,君子吝。
子どものように浅く見る。未熟な人には咎がなくても、君子には恥となる。
二爻(陰)窺觀,利女貞。
隙間から見るように視野が狭い。限られた場で守るにとどまる。
三爻(陰)觀我生,進退。
自分の生き方を見て、進むか退くかを決める。
四爻(陰)觀國之光,利用賓于王。
国の光を見て、その王に賓客として仕えるとよい。
五爻(陽)觀我生,君子无咎。
自分の生き方を省みる。君子なら咎はない。
上爻(陽)觀其生,君子无咎。
その人の生き方を見つめる。君子なら咎はない。
21. 噬嗑・障害をかみ砕く
卦辞亨。利用獄。
通じる。争いや罪を公正に裁くことによい。
初爻(陽)屨校滅趾,无咎。
足かせで足先を覆う。初めの小さな戒めなら咎はない。
二爻(陰)噬膚滅鼻,无咎。
柔らかい肉を噛んで鼻まで埋まる。厳しくても正当なら咎はない。
三爻(陰)噬腊肉,遇毒。小吝,无咎。
干し肉を噛んで毒に当たる。小さな恥はあっても咎はない。
四爻(陽)噬乾胏,得金矢。利艱貞,吉。
骨付きの干し肉を噛み、金属の矢を得る。困難にも正しく守れば吉。
五爻(陰)噬乾肉,得黃金。貞厲,无咎。
干し肉を噛み、黄金を得る。正しく警戒すれば咎はない。
上爻(陽)何校滅耳,凶。
首かせで耳が隠れる。戒めを聞かず罪を重ねれば凶。
22. 賁・装い
卦辞亨。小利有攸往。
通じる。小さなことを進めるにはよい。
初爻(陽)賁其趾,舍車而徒。
足を飾る。車を捨て、自分の足で歩く。
二爻(陰)賁其須。
ひげを飾る。外形はその土台に従う。
三爻(陽)賁如濡如,永貞吉。
潤いある美しい装い。長く正しさを守れば吉。
四爻(陰)賁如皤如,白馬翰如。匪寇婚媾。
白く素朴に飾り、白馬が飛ぶように来る。盗賊ではなく求婚者。
五爻(陰)賁于丘園,束帛戔戔。吝,終吉。
丘や園で飾る。贈り物が少なく恥ずかしくても、最後は吉。
上爻(陽)白賁,无咎。
白く素朴な装い。咎はない。
23. 剝・崩れる
卦辞不利有攸往。
進むことによくない。
初爻(陰)剝床以足,蔑貞凶。
寝台が脚から削られる。支えを失い、正しさが損なわれる凶相。
二爻(陰)剝床以辨,蔑貞凶。
寝台の縁まで削られる。危険が近づき、凶。
三爻(陰)剝之,无咎。
崩す側から離れる。咎はない。
四爻(陰)剝床以膚,凶。
寝台から皮膚にまで害が及ぶ。凶。
五爻(陰)貫魚,以宮人寵,无不利。
魚を貫くように順序を整え、従う者を導けば不利はない。
上爻(陽)碩果不食,君子得輿,小人剝廬。
大きな果実が食べられずに残る。君子は支えを得るが、小人は自らの家を壊す。
24. 復・戻る
卦辞亨。出入无疾,朋來无咎。反復其道,七日來復。利有攸往。
通じる。出入りに病はなく、仲間が来ても咎はない。道は巡り、七日にして戻る。進むによい。
初爻(陽)不遠復,无祗悔,元吉。
遠くへ行く前に戻る。大きな悔いに至らず、大吉。
二爻(陰)休復,吉。
よいものに親しんで戻る。吉。
三爻(陰)頻復,厲无咎。
戻っては逸れることを繰り返す。危ういが、戻るなら咎はない。
四爻(陰)中行獨復。
集団の中でも、独り正しい道へ戻る。
五爻(陰)敦復,无悔。
厚い誠意で戻る。悔いはない。
上爻(陰)迷復,凶,有災眚。用行師,終有大敗,以其國君凶,至于十年不克征。
戻る道を見失う。凶で災いがある。無理な行動は大敗につながり、回復に長くかかる。
25. 无妄・作為を離れる
卦辞元亨利貞。其匪正有眚,不利有攸往。
大いに通じる。正しさを守るとよい。正しくなければ災いがあり、進むによくない。
初爻(陽)无妄,往吉。
偽りなく進む。吉。
二爻(陰)不耕穫,不菑畬,則利有攸往。
収穫だけを目当てに耕さず、利益を先に計算しない。その誠実さなら進むによい。
三爻(陰)无妄之災。或繫之牛,行人之得,邑人之災。
思いがけない災い。つないだ牛を旅人が得て、村人が損をする。
四爻(陽)可貞,无咎。
正しさを守れば咎はない。
五爻(陽)无妄之疾,勿藥有喜。
思いがけない病。むやみに薬を用いなくても喜びがある。
上爻(陽)无妄,行有眚,无攸利。
作為なくても、今は進めば災いになる。利になる道はない。
26. 大畜・大きく蓄える
卦辞利貞。不家食吉,利涉大川。
正しさを守るとよい。家にとどまって食べず、公に働けば吉。大河を渡ることによい。
初爻(陽)有厲,利已。
危険がある。今はやめるとよい。
二爻(陽)輿說輹。
車の軸を外して進まない。力を保って待つ。
三爻(陽)良馬逐,利艱貞。曰閑輿衛,利有攸往。
良馬が追って走る。困難にも正しさを守り、日々備えを習えば進むによい。
四爻(陰)童牛之牿,元吉。
若い牛の角に防具をつける。害を未然に防いで大吉。
五爻(陰)豶豕之牙,吉。
去勢した猪の牙。危険の根を抑えて吉。
上爻(陽)何天之衢,亨。
天へ通じる大きな道。蓄えた力が開かれ、通じる。
27. 頤・養う
卦辞貞吉。觀頤,自求口實。
正しさを守れば吉。養い方を観察し、自ら口を養う道を求める。
初爻(陽)舍爾靈龜,觀我朵頤,凶。
自分の霊亀を捨て、他人の食物を羨む。凶。
二爻(陰)顛頤,拂經,于丘頤,征凶。
養いを逆に求め、常道を外れる。丘へ向かって求め進めば凶。
三爻(陰)拂頤,貞凶。十年勿用,无攸利。
正しい養いに背く。固守すれば凶。長く用いられず、利はない。
四爻(陰)顛頤,吉。虎視眈眈,其欲逐逐,无咎。
上から下へ養いを求めるが吉。虎のように注意深く、誠実に求めれば咎はない。
五爻(陰)拂經,居貞吉,不可涉大川。
常道とは異なっても、静かに正しさを守れば吉。大河を渡る大事には向かない。
上爻(陽)由頤,厲吉,利涉大川。
人々の養いを担う。危険を自覚すれば吉。大河を渡る大事にもよい。
28. 大過・荷重
卦辞棟橈。利有攸往,亨。
棟木がたわむ。進んで対処することによく、通じる。
初爻(陰)藉用白茅,无咎。
白い茅を下に敷く。丁寧に備えれば咎はない。
二爻(陽)枯楊生稊,老夫得其女妻,无不利。
枯れた楊に芽が出る。老いた男性が若い妻を得るように、再生の力がある。
三爻(陽)棟橈,凶。
棟木がたわむ。支えきれず凶。
四爻(陽)棟隆,吉。有它吝。
棟木が持ちこたえる。吉。ただし余計な執着には恥がある。
五爻(陽)枯楊生華,老婦得其士夫,无咎无譽。
枯れた楊に花が咲く。老いた女性が若い夫を得るように、一時の華やぎ。咎も誉れもない。
上爻(陰)過涉滅頂,凶,无咎。
川を渡りすぎ、頭まで沈む。凶だが、正しい目的なら咎とはしない。
29. 坎・重なる険しさ
卦辞習坎,有孚,維心亨,行有尚。
険しさが重なる。誠があれば心は通じ、行動に価値がある。
初爻(陰)習坎,入于坎窞,凶。
険しさを重ね、深い穴に落ちる。凶。
二爻(陽)坎有險,求小得。
危険の中にいる。小さな成果から求める。
三爻(陰)來之坎坎,險且枕,入于坎窞,勿用。
進んでも退いても険しい。深みに陥るので、今は用いない。
四爻(陰)樽酒簋貳,用缶,納約自牖,終无咎。
酒一樽と簡素な器、窓から差し入れるほどの質素な誠意。最後は咎がない。
五爻(陽)坎不盈,祗既平,无咎。
穴はまだ満ちないが、平らになるところに至る。咎はない。
上爻(陰)係用徽纆,寘于叢棘,三歲不得,凶。
縄で縛られ、茨の中に閉じ込められる。長く脱せず凶。
30. 離・明るさと拠り所
卦辞利貞,亨。畜牝牛吉。
正しさを守るとよく、通じる。牝牛を養うように柔順さを育てれば吉。
初爻(陽)履錯然,敬之无咎。
足取りが乱れる。慎み敬えば咎はない。
二爻(陰)黃離,元吉。
黄色の明るさ。中道を得て大吉。
三爻(陽)日昃之離,不鼓缶而歌,則大耋之嗟,凶。
日が傾く。衰えを受け入れて歌うこともできず、老いを嘆くだけなら凶。
四爻(陽)突如其來如,焚如,死如,棄如。
突然来て、燃え、死に、捨てられる。激しすぎる勢いは続かない。
五爻(陰)出涕沱若,戚嗟若,吉。
涙を流し、憂えて嘆く。深く省みるので吉。
上爻(陽)王用出征,有嘉折首,獲匪其醜,无咎。
王が征伐する。首悪を正し、無関係な者まで捕らえなければ咎はない。
31. 咸・感じ合う
卦辞亨,利貞。取女吉。
通じる。正しさを守るとよい。伴侶を迎えれば吉。
初爻(陰)咸其拇。
親指に感じる。心が動き始めたばかりなので急がない。
二爻(陰)咸其腓,凶。居吉。
ふくらはぎに感じて先走れば凶。とどまれば吉。
三爻(陽)咸其股,執其隨,往吝。
太ももに感じ、他人に従って動くだけなら、進んでも恥が残る。
四爻(陽)貞吉悔亡。憧憧往來,朋從爾思。
正しく守れば吉で悔いは消える。考えが往来すると、仲間もその思いに従う。
五爻(陽)咸其脢,无悔。
背の肉に感じる。大きく動かなくても悔いはない。
上爻(陰)咸其輔頰舌。
頬や舌に感じる。口先だけの感応にとどまらないこと。
32. 恒・持続
卦辞亨,无咎,利貞。利有攸往。
通じる。咎はない。正しさを守るとよく、進むことにもよい。
初爻(陰)浚恆,貞凶,无攸利。
初めから深い持続を求めすぎる。固守すれば凶で、利はない。
二爻(陽)悔亡。
悔いが消える。中道を保ち続ける。
三爻(陽)不恆其德,或承之羞,貞吝。
徳が長続きしなければ恥を受ける。固守しても悔いがある。
四爻(陽)田无禽。
田に獲物がいない。努力を続けても場所を誤れば実らない。
五爻(陰)恆其德,貞。婦人吉,夫子凶。
従う役割なら一貫性は吉だが、主導する役割でただ従うだけなら凶。役割を見極める。
上爻(陰)振恆,凶。
落ち着きなく動き続ける。凶。
33. 遯・退く
卦辞亨,小利貞。
退けば通じる。小事では正しさを守るとよい。
初爻(陰)遯尾,厲。勿用有攸往。
退く最後尾にいる。危ういので無理に進まない。
二爻(陰)執之用黃牛之革,莫之勝說。
黄牛の革で固く結ぶ。志が堅く、解けない。
三爻(陽)係遯,有疾厲。畜臣妾吉。
つながりに引かれて退けない。危険がある。身近な者を養うにはよい。
四爻(陽)好遯,君子吉,小人否。
好ましい関係からも退く。君子は吉だが、執着する人には難しい。
五爻(陽)嘉遯,貞吉。
よく時を選んで退く。正しく守れば吉。
上爻(陽)肥遯,无不利。
余裕をもって退く。不利はない。
34. 大壮・盛んな力
卦辞利貞。
正しさを守るとよい。
初爻(陽)壯于趾,征凶,有孚。
足先だけに勢いがある。進めば凶。その結果は確かである。
二爻(陽)貞吉。
正しさを守れば吉。
三爻(陽)小人用壯,君子用罔,貞厲。羝羊觸藩,羸其角。
小人は力に頼り、君子はそれを戒める。雄羊が垣根に角を絡めるような無理をしない。
四爻(陽)貞吉悔亡。藩決不羸,壯于大輿之輹。
正しく守れば吉で悔いは消える。垣根が開き、車の軸も強い。
五爻(陰)喪羊于易,无悔。
穏やかに羊を失う。強さへの執着を手放せば悔いはない。
上爻(陰)羝羊觸藩,不能退,不能遂,无攸利。艱則吉。
雄羊が垣根に触れ、進退ともできない。利はないが、苦しんで省みれば吉。
35. 晋・進む
卦辞康侯用錫馬蕃庶,晝日三接。
国を安らかにする侯が多くの馬を賜り、一日に三度接見される。
初爻(陰)晉如摧如,貞吉。罔孚,裕无咎。
進んでも妨げられる。正しく守れば吉。まだ信頼されなくても寛大なら咎はない。
二爻(陰)晉如愁如,貞吉。受茲介福,于其王母。
進みながら憂える。正しく守れば吉。祖母にあたる人から福を受ける。
三爻(陰)眾允,悔亡。
仲間に信頼される。悔いが消える。
四爻(陽)晉如鼫鼠,貞厲。
大鼠のように貪って進む。固守しても危険。
五爻(陰)悔亡,失得勿恤。往吉,无不利。
悔いが消える。損得を気にしすぎず進めば吉で、不利はない。
上爻(陽)晉其角,維用伐邑。厲吉无咎,貞吝。
角を突き出すほど進む。自分の領域を正すためだけに用いれば、危うくても咎はない。強硬さを常にするのは恥。
36. 明夷・光を隠す
卦辞利艱貞。
困難の中で正しさを守るとよい。
初爻(陽)明夷于飛,垂其翼。君子于行,三日不食。有攸往,主人有言。
飛ぶ鳥が翼を垂れる。君子は行くために食を欠き、非難されても離れる。
二爻(陰)明夷,夷于左股,用拯馬壯,吉。
左腿を傷つけられる。強い馬で救い出せば吉。
三爻(陽)明夷于南狩,得其大首,不可疾貞。
南へ狩りに行き、首悪を得る。急いで正そうとしすぎない。
四爻(陰)入于左腹,獲明夷之心,于出門庭。
相手の腹中に入り、その心を知る。門を出て危険から離れる。
五爻(陰)箕子之明夷,利貞。
箕子のように明を隠す。正しさを守るとよい。
上爻(陰)不明晦,初登于天,後入于地。
明るくなく暗い。初めは天へ登るが、後には地へ落ちる。
37. 家人・家庭の秩序
卦辞利女貞。
家庭を担う者が正しさを守るとよい。
初爻(陽)閑有家,悔亡。
初めから家の規律を整える。悔いは消える。
二爻(陰)无攸遂,在中饋,貞吉。
勝手に外へ出ず、内の食事を整える役を果たす。正しく守れば吉。
三爻(陽)家人嗃嗃,悔厲吉。婦子嘻嘻,終吝。
厳しく家を治めれば悔いや危うさはあっても吉。笑い遊ぶだけでは最後に恥がある。
四爻(陰)富家,大吉。
家を豊かにする。大吉。
五爻(陽)王假有家,勿恤,吉。
王が家をよく治める。心配することなく吉。
上爻(陽)有孚威如,終吉。
誠があり、威厳がある。最後は吉。
38. 睽・違い
卦辞小事吉。
小さなことなら吉。
初爻(陽)悔亡。喪馬勿逐,自復。見惡人,无咎。
悔いが消える。馬を失っても追わずにいれば戻る。好ましくない人に会っても咎はない。
二爻(陽)遇主于巷,无咎。
路地で主に出会う。形式にこだわらず通じれば咎はない。
三爻(陰)見輿曳,其牛掣,其人天且劓。无初有終。
車を引き止められ、牛も妨げられ、人が傷つく。初めはうまくいかなくても終わりはある。
四爻(陽)睽孤,遇元夫,交孚,厲无咎。
孤立していても、志のある人に会い誠実に交わる。危うくても咎はない。
五爻(陰)悔亡。厥宗噬膚,往何咎。
悔いが消える。同族が障害を噛み破る。進んでも咎はない。
上爻(陽)睽孤,見豕負塗,載鬼一車。先張之弧,後說之弧。匪寇婚媾,往遇雨則吉。
孤立して疑い、相手を汚れた豚や鬼の車と見る。弓を下ろせば盗賊ではなく親しい相手。疑いが解ければ吉。
39. 蹇・行き悩む
卦辞利西南,不利東北。利見大人,貞吉。
西南によく、東北にはよくない。大人に会うとよい。正しく守れば吉。
初爻(陰)往蹇來譽。
進めば難しく、戻れば誉れがある。
二爻(陰)王臣蹇蹇,匪躬之故。
王の臣は重なる困難に尽くす。自分の私欲のためではない。
三爻(陽)往蹇來反。
進めば難しく、戻って仲間に就く。
四爻(陰)往蹇來連。
進めば難しく、戻れば結びつきを得る。
五爻(陽)大蹇朋來。
大きな困難に、友が来る。
上爻(陰)往蹇來碩,吉。利見大人。
進めば難しく、戻れば大きな成果がある。吉。大人に会うとよい。
40. 解・解きほぐす
卦辞利西南。无所往,其來復吉。有攸往,夙吉。
西南によい。行くべきことがなければ戻って吉。行く必要があるなら早くして吉。
初爻(陰)无咎。
問題が解け、咎はない。
二爻(陽)田獲三狐,得黃矢,貞吉。
狩りで三匹の狐を得て、黄色い矢を得る。正しく守れば吉。
三爻(陰)負且乘,致寇至,貞吝。
荷を背負う身で立派な車に乗る。分不相応な誇示は盗賊を招き、恥が残る。
四爻(陽)解而拇,朋至斯孚。
足の親指のようにまとわりつく相手を解き放つ。誠実な友が来る。
五爻(陰)君子維有解,吉。有孚于小人。
君子が自ら束縛を解けば吉。小人が退くことがその証となる。
上爻(陰)公用射隼于高墉之上,獲之,无不利。
公が高い壁の上の隼を射て獲る。障害を的確に除けば不利はない。
41. 損・減らす
卦辞有孚,元吉,无咎,可貞,利有攸往。曷之用?二簋可用享。
誠があれば大吉。咎なく正しさを守れ、進むによい。簡素な供え物でも時にかなえばよい。
初爻(陽)已事遄往,无咎。酌損之。
自分の仕事を済ませて早く助けに行く。咎はない。ただし減らす程度をよく考える。
二爻(陽)利貞,征凶。弗損益之。
正しさを守るとよい。無理に進めば凶。自分を損ないすぎず相手を益する。
三爻(陰)三人行則損一人,一人行則得其友。
三人で行けば一人を減らし、一人で行けば友を得る。関係を簡明にする。
四爻(陰)損其疾,使遄有喜,无咎。
自分の病や欠点を減らす。早く改めれば喜びがあり、咎はない。
五爻(陰)或益之十朋之龜,弗克違,元吉。
高価な亀でも拒めないほどの助けを受ける。大吉。
上爻(陽)弗損益之,无咎,貞吉。利有攸往,得臣无家。
自分を損なわず人を益する。咎なく、正しく守れば吉。進むによく、広く人を得る。
42. 益・増やす
卦辞利有攸往,利涉大川。
進むことによい。大河を渡るような仕事によい。
初爻(陽)利用為大作,元吉,无咎。
大きな仕事をするによい。大吉を成して初めて咎がない。
二爻(陰)或益之十朋之龜,弗克違,永貞吉。王用享于帝,吉。
高価な亀でも拒めない助けを受ける。長く正しさを守れば吉。王が上帝に祭って吉。
三爻(陰)益之用凶事,无咎。有孚中行,告公用圭。
困難を通じて益を得る。誠をもち、中道をもって公に報告すれば咎はない。
四爻(陰)中行告公從,利用為依遷國。
中道を守って公に告げれば従われる。国を移すほどの事業にもよい。
五爻(陽)有孚惠心,勿問元吉。有孚惠我德。
人を恵む誠があれば、問うまでもなく大吉。その徳に誠で報いられる。
上爻(陽)莫益之,或擊之。立心勿恆,凶。
誰も益さず、攻撃する人さえいる。心が定まらず欲張れば凶。
43. 夬・決する
卦辞揚于王庭,孚號有厲。告自邑,不利即戎。利有攸往。
王の庭で明らかに告げ、誠実に警戒を伝える。自分の町にも告げる。武力に頼るのはよくないが、進むにはよい。
初爻(陽)壯于前趾,往不勝為咎。
足先だけ勇ましく進む。力が足りなければ咎となる。
二爻(陽)惕號,莫夜有戎,勿恤。
恐れて警戒を呼びかける。夜に敵が来ても備えていれば心配はない。
三爻(陽)壯于頄,有凶。君子夬夬獨行,遇雨若濡,有慍,无咎。
頬に怒りを表せば凶。君子は断固として進み、雨に濡れて不快でも咎はない。
四爻(陽)臀无膚,其行次且。牽羊悔亡,聞言不信。
尻に皮膚がなく、歩きにくい。素直に従えば悔いは消えるが、忠告を信じられない。
五爻(陽)莧陸夬夬,中行无咎。
雑草を抜くように決断する。中道を行けば咎はない。
上爻(陰)无號,終有凶。
最後には叫ぶこともできない。凶。
44. 姤・思いがけない出会い
卦辞女壯,勿用取女。
勢いの強い女性との出会い。そのまま伴侶として迎えるべきではない。
初爻(陰)繫于金柅,貞吉。有攸往,見凶。羸豕孚蹢躅。
金属の止め具でつなぎ止める。正しく守れば吉。進ませれば危険。弱そうでも勢いを侮らない。
二爻(陽)包有魚,无咎,不利賓。
包みの中に魚がいる。咎はないが、客に振る舞うにはよくない。
三爻(陽)臀无膚,其行次且,厲,无大咎。
尻に皮膚がなく歩きにくい。危ういが、無理を控えれば大きな咎はない。
四爻(陽)包无魚,起凶。
包みの中に魚がない。行動を起こせば凶。
五爻(陽)以杞包瓜,含章,有隕自天。
柳で瓜を包むように才を内に含む。天からの機会を待つ。
上爻(陽)姤其角,吝,无咎。
角で突くように出会う。恥はあっても咎はない。
45. 萃・集まる
卦辞亨。王假有廟,利見大人,亨,利貞。用大牲吉,利有攸往。
通じる。王が廟に至る。大人に会うとよく、正しさを守るとよい。大きな供え物を用いて吉。進むによい。
初爻(陰)有孚不終,乃亂乃萃。若號,一握為笑。勿恤,往无咎。
誠があっても続かず乱れる。呼びかければ笑顔に戻る。心配せず進めば咎はない。
二爻(陰)引吉,无咎。孚乃利用禴。
導かれて集まれば吉で咎はない。誠があれば簡素な祭りでよい。
三爻(陰)萃如嗟如,无攸利。往无咎,小吝。
集まろうとして嘆く。利はないが、進めば咎はない。ただし小さな恥がある。
四爻(陽)大吉,无咎。
大いに吉であって初めて咎がない。
五爻(陽)萃有位,无咎。匪孚,元永貞,悔亡。
正しい位に集めれば咎はない。まだ信頼されなくても、長く正しさを守れば悔いは消える。
上爻(陰)齎咨涕洟,无咎。
嘆き涙を流す。誠実に結びつきを求めるので咎はない。
46. 升・着実な上昇
卦辞元亨。用見大人,勿恤。南征吉。
大いに通じる。大人に会う。心配はない。南へ進めば吉。
初爻(陰)允升,大吉。
信頼されて昇る。大吉。
二爻(陽)孚乃利用禴,无咎。
誠があれば簡素な祭りでよい。咎はない。
三爻(陽)升虛邑。
空の町を昇るように、障害なく進む。
四爻(陰)王用亨于岐山,吉,无咎。
王が岐山で祭る。吉で咎はない。
五爻(陰)貞吉,升階。
正しく守れば吉。階段を一段ずつ昇る。
上爻(陰)冥升,利于不息之貞。
暗い中でも昇ろうとする。絶えず正しさを守る方向に努力を向けること。
47. 困・行き詰まり
卦辞亨。貞,大人吉,无咎。有言不信。
通じる。正しさを守る。大人は吉で咎はない。言葉を重ねても信じられにくい。
初爻(陰)臀困于株木,入于幽谷,三歲不覿。
切り株に尻を置くように困り、暗い谷に入る。長く人に会えない。
二爻(陽)困于酒食,朱紱方來,利用亨祀。征凶,无咎。
酒食の中でも困る。高位の人が来る。誠実な祭りによく、無理に進めば凶だが咎はない。
三爻(陰)困于石,據于蒺藜。入于其宮,不見其妻,凶。
石に行く手を塞がれ、茨にもたれる。家に帰っても妻がいない。凶。
四爻(陽)來徐徐,困于金車。吝,有終。
ゆっくり来る。金の車に妨げられ恥はあるが、最後には成就する。
五爻(陽)劓刖,困于赤紱。乃徐有說,利用祭祀。
厳しい傷を受け、官位にも苦しむ。徐々に喜びが来る。誠実な祭りによい。
上爻(陰)困于葛藟,于臲卼。曰動悔有悔,征吉。
つる草に絡まり、不安で揺れる。動けば悔いると思うが、その迷いを悔いて進めば吉。
48. 井・共有の源
卦辞改邑不改井,无喪无得,往來井井。汔至亦未繘井,羸其瓶,凶。
町が移っても井戸は変わらない。人々が行き来して汲む。ほとんど届いても縄が足りず、つるべを壊せば凶。
初爻(陰)井泥不食,舊井无禽。
井戸が泥で汲めない。古びて鳥も寄らない。基礎を整える必要がある。
二爻(陽)井谷射鮒,甕敝漏。
井戸のくぼみの小魚を射るだけで、つるべも割れて漏れる。力を生かせない。
三爻(陽)井渫不食,為我心惻。可用汲,王明並受其福。
井戸は清められたのに使われず、心が痛む。明らかな王が用いれば皆が福を受ける。
四爻(陰)井甃,无咎。
井戸の壁を修理する。咎はない。
五爻(陽)井冽,寒泉食。
澄んだ冷たい泉の井戸。人々を養う水が汲める。
上爻(陰)井收勿幕,有孚元吉。
水を汲み上げ、覆い隠さず皆に開く。誠があれば大吉。
49. 革・改める
卦辞巳日乃孚。元亨利貞,悔亡。
時が来て信頼される。大いに通じ、正しさを守るとよい。悔いは消える。
初爻(陽)鞏用黃牛之革。
黄牛の革で固く結ぶ。まだ動く時ではない。
二爻(陰)巳日乃革之,征吉,无咎。
時が来て改める。進めば吉で咎はない。
三爻(陽)征凶,貞厲。革言三就,有孚。
急いで進めば凶。正しくても危険がある。改革の議論を重ね、信頼を得る。
四爻(陽)悔亡。有孚改命,吉。
悔いが消える。信頼があって命を改めれば吉。
五爻(陽)大人虎變,未占有孚。
大人は虎の毛のように鮮やかに変わる。占う前から信頼される。
上爻(陰)君子豹變,小人革面。征凶,居貞吉。
君子は豹のように変わり、小人は表情だけを変える。さらに進めば凶。静かに正しさを守れば吉。
50. 鼎・新しい器
卦辞元吉,亨。
大いに吉。通じる。
初爻(陰)鼎顛趾,利出否。得妾以其子,无咎。
鼎を逆さにして古い滓を出す。卑しい身分からでも新しい役を果たせば咎はない。
二爻(陽)鼎有實,我仇有疾,不我能即,吉。
鼎に実がある。対立する相手に問題があっても近づけない。吉。
三爻(陽)鼎耳革,其行塞,雉膏不食。方雨虧悔,終吉。
鼎の耳が変わり、運べず料理も食べられない。雨が来れば悔いは解け、最後は吉。
四爻(陽)鼎折足,覆公餗,其形渥,凶。
鼎の脚が折れ、公の料理をこぼす。責任を支えきれず凶。
五爻(陰)鼎黃耳金鉉,利貞。
鼎に黄色い耳と金のつり棒がある。正しさを守るとよい。
上爻(陽)鼎玉鉉,大吉,无不利。
鼎に玉のつり棒がある。大吉で不利はない。
51. 震・揺さぶり
卦辞亨。震來虩虩,笑言啞啞。震驚百里,不喪匕鬯。
通じる。雷に恐れても後には笑う。遠くまで驚かせる雷でも祭器を落とさない。
初爻(陽)震來虩虩,後笑言啞啞,吉。
雷に恐れるが、後には笑う。吉。
二爻(陰)震來厲,億喪貝,躋于九陵。勿逐,七日得。
雷が来て危険。財を失っても高い丘へ逃れる。追わなければ七日で戻る。
三爻(陰)震蘇蘇,震行无眚。
雷に動揺する。その恐れを行動の見直しに変えれば災いはない。
四爻(陽)震遂泥。
雷が泥に沈む。動く力が塞がれている。
五爻(陰)震往來厲,億无喪,有事。
行っても来ても危険だが、大切なものと務めは失わない。
上爻(陰)震索索,視矍矍,征凶。震不于其躬,于其鄰,无咎。婚媾有言。
雷に恐れて目が定まらない。進めば凶。隣の危険を見て早く備えれば咎はないが、近い人の言葉はある。
52. 艮・止まる
卦辞艮其背,不獲其身。行其庭,不見其人。无咎。
背にとどまり、自分の身への執着を忘れる。庭を行っても人を追い求めない。咎はない。
初爻(陰)艮其趾,无咎,利永貞。
足先で止まる。咎はない。長く正しさを守るとよい。
二爻(陰)艮其腓,不拯其隨,其心不快。
ふくらはぎで止まる。従う相手を救えず心が楽しくない。
三爻(陽)艮其限,列其夤,厲薰心。
腰で無理に止まり、背が裂けるほど緊張する。危険で心が焼ける。
四爻(陰)艮其身,无咎。
胴体で止まる。咎はない。
五爻(陰)艮其輔,言有序,悔亡。
顎で止まり、言葉に順序がある。悔いが消える。
上爻(陽)敦艮,吉。
厚く誠実に止まる。吉。
53. 漸・少しずつ進む
卦辞女歸吉,利貞。
女性が嫁ぐように段階を踏めば吉。正しさを守るとよい。
初爻(陰)鴻漸于干,小子厲,有言,无咎。
雁が水際に進む。若い者には危険と非難があるが、咎はない。
二爻(陰)鴻漸于磐,飲食衎衎,吉。
雁が岩に進み、安らかに食べる。吉。
三爻(陽)鴻漸于陸,夫征不復,婦孕不育,凶。利禦寇。
雁が陸に進む。夫は戻らず、妻の妊娠も育たない。凶。侵害を防ぐにはよい。
四爻(陰)鴻漸于木,或得其桷,无咎。
雁が木に進み、平らな枝を得る。咎はない。
五爻(陽)鴻漸于陵,婦三歲不孕,終莫之勝,吉。
雁が丘に進む。長く実らなくても、最後は妨げられず吉。
上爻(陽)鴻漸于陸,其羽可用為儀,吉。
雁が高く進む。その羽は儀礼の飾りに使える。吉。
54. 帰妹・不釣り合いな結びつき
卦辞征凶,无攸利。
進めば凶。利になるところはない。
初爻(陽)歸妹以娣,跛能履,征吉。
妹の立場で嫁ぐ。足が不自由でも歩けるように、役割を限れば進んで吉。
二爻(陽)眇能視,利幽人之貞。
片目でも見ることはできる。静かに自分の正しさを守るとよい。
三爻(陰)歸妹以須,反歸以娣。
待つべき立場で嫁ごうとする。戻って補助の役を受け入れる。
四爻(陽)歸妹愆期,遲歸有時。
婚期を過ぎても待つ。時が来てから嫁ぐ。
五爻(陰)帝乙歸妹,其君之袂,不如其娣之袂良。月幾望,吉。
帝乙が娘を嫁がせる。主の衣が付き添いより質素でも、月が満ちる前のように慎めば吉。
上爻(陰)女承筐无實,士刲羊无血,无攸利。
女性の籠は空で、男性が羊を刺しても血が出ない。形だけでは何の利もない。
55. 豊・盛大
卦辞亨,王假之。勿憂,宜日中。
通じる。王が盛大さに至る。憂えず、日が中天にあるように明らかにする。
初爻(陽)遇其配主,雖旬无咎,往有尚。
対等な主に会う。対等でも咎はなく、進めば評価を得る。
二爻(陰)豐其蔀,日中見斗。往得疑疾,有孚發若,吉。
覆いが大きく、真昼に星が見える。進めば疑われるが、誠で心を動かせば吉。
三爻(陽)豐其沛,日中見沬。折其右肱,无咎。
覆いが厚く、真昼に小さな星が見える。右腕を折るような支障があるが、咎はない。
四爻(陽)豐其蔀,日中見斗。遇其夷主,吉。
覆いが大きく真昼に星が見える。対等な相手に会えば吉。
五爻(陰)來章,有慶譽,吉。
優れた人や文徳が来る。慶びと誉れがあり吉。
上爻(陰)豐其屋,蔀其家,窺其戶,闃其无人,三歲不覿,凶。
家だけを大きく覆い、窓から見ても誰もいない。長く孤立して凶。
56. 旅・旅の立場
卦辞小亨,旅貞吉。
小さく通じる。旅では正しさを守れば吉。
初爻(陰)旅瑣瑣,斯其所取災。
旅先で小事にこだわり卑屈に振る舞う。自ら災いを招く。
二爻(陰)旅即次,懷其資,得童僕貞。
宿を得て資金を持ち、信頼できる若い助け手を得る。
三爻(陽)旅焚其次,喪其童僕,貞厲。
宿が焼け、助け手を失う。正しくても危うい。
四爻(陽)旅于處,得其資斧,我心不快。
仮の場所で資金と道具を得るが、心は安らかでない。
五爻(陰)射雉,一矢亡,終以譽命。
雉を射て一本の矢を失う。最後には名誉と役目を得る。
上爻(陽)鳥焚其巢,旅人先笑後號咷。喪牛于易,凶。
鳥の巣が焼ける。旅人は初め笑い、後に泣く。油断して大切なものを失い凶。
57. 巽・穏やかに浸透する
卦辞小亨,利有攸往,利見大人。
小さく通じる。進むによい。大人に会うとよい。
初爻(陰)進退,利武人之貞。
進退が定まらない。武人のような規律と決断を保つとよい。
二爻(陽)巽在床下,用史巫紛若,吉无咎。
寝台の下までへりくだる。誠実に祈りを尽くせば吉で咎はない。
三爻(陽)頻巽,吝。
何度も従い方を変える。卑屈な繰り返しには恥がある。
四爻(陰)悔亡,田獲三品。
悔いが消える。狩りで三種の獲物を得る。
五爻(陽)貞吉悔亡,无不利。无初有終。先庚三日,後庚三日,吉。
正しく守れば吉で悔いは消える。始めが悪くても終わりを得る。改める前後をよく整える。
上爻(陽)巽在床下,喪其資斧,貞凶。
寝台の下までへりくだり、資金と斧を失う。主体性を失ったまま固守すれば凶。
58. 兌・喜び
卦辞亨,利貞。
通じる。正しさを守るとよい。
初爻(陽)和兌,吉。
和やかに喜ぶ。吉。
二爻(陽)孚兌,吉,悔亡。
誠実に喜ぶ。吉で悔いは消える。
三爻(陰)來兌,凶。
外から来る楽しみに流される。凶。
四爻(陽)商兌未寧,介疾有喜。
喜びを吟味し、まだ安らげない。有害なものを退ければ喜びがある。
五爻(陽)孚于剝,有厲。
自分を損なう相手を信じる。危険。
上爻(陰)引兌。
楽しみで人を引きつける。何に導かれているかを見極める。
59. 渙・わだかまりを散らす
卦辞亨。王假有廟,利涉大川,利貞。
通じる。王が廟に至る。大河を渡るによく、正しさを守るとよい。
初爻(陰)用拯馬壯,吉。
力強い馬で救いに行く。吉。
二爻(陽)渙奔其机,悔亡。
散らばる時に支えへ走る。悔いが消える。
三爻(陰)渙其躬,无悔。
自分の執着を散らす。悔いはない。
四爻(陰)渙其群,元吉。渙有丘,匪夷所思。
小さな群れの枠を解く。大吉。散らして大きく集める働きは普通の思慮を超える。
五爻(陽)渙汗其大號,渙王居,无咎。
汗が広がるように大号令を出す。王が蓄えを開いて救えば咎はない。
上爻(陽)渙其血,去逖出,无咎。
血の害を散らし、遠く離れる。咎はない。
60. 節・節度
卦辞亨。苦節不可貞。
通じる。苦しい節制をいつまでも固守してはならない。
初爻(陽)不出戶庭,无咎。
内庭の戸から出ない。時をわきまえれば咎はない。
二爻(陽)不出門庭,凶。
外の門から出ない。出るべき時まで閉じこもれば凶。
三爻(陰)不節若,則嗟若,无咎。
節度を欠いて嘆く。原因を省み、他人を責めない。
四爻(陰)安節,亨。
無理なく節度に安んじる。通じる。
五爻(陽)甘節,吉。往有尚。
心地よい節度。吉。進めば誉れがある。
上爻(陰)苦節,貞凶,悔亡。
苦しすぎる節制。固守すれば凶だが、改めて省みれば悔いは消える。
61. 中孚・内なる誠
卦辞豚魚吉,利涉大川,利貞。
豚や魚にまで通じる誠があれば吉。大河を渡るによく、正しさを守るとよい。
初爻(陽)虞吉,有它不燕。
安らかに誠を守れば吉。他へ心を移せば安らげない。
二爻(陽)鳴鶴在陰,其子和之。我有好爵,吾與爾靡之。
陰で鳴く鶴に子が応える。よい酒を分かち合うように、誠が自然に伝わる。
三爻(陰)得敵,或鼓或罷,或泣或歌。
相手次第で太鼓を打ったりやめたり、泣いたり歌ったりする。心が定まらない。
四爻(陰)月幾望,馬匹亡,无咎。
月が満ちる直前。対の馬を失っても咎はない。私的な結びつきを離れる。
五爻(陽)有孚攣如,无咎。
誠で固くつながる。咎はない。
上爻(陽)翰音登于天,貞凶。
鳴き声だけが天に届く。中身のない声を固守すれば凶。
62. 小過・小さく越える
卦辞亨,利貞。可小事,不可大事。飛鳥遺之音,不宜上,宜下,大吉。
通じる。正しさを守るとよい。小事はよいが大事は避ける。鳥の声が残る。上るより下るによく、大吉。
初爻(陰)飛鳥以凶。
鳥が高く飛びすぎる。凶。
二爻(陰)過其祖,遇其妣。不及其君,遇其臣,无咎。
祖父を越えて祖母に会う。君主まで行かず臣としての役を得る。咎はない。
三爻(陽)弗過防之,從或戕之,凶。
十分に防がなければ、後から害されることもある。凶。
四爻(陽)无咎,弗過遇之。往厲必戒,勿用永貞。
咎はない。越えすぎず適切な相手に会う。進むのは危険なので用心し、固執しない。
五爻(陰)密雲不雨,自我西郊。公弋取彼在穴。
雲は厚いが西郊に雨がない。公が穴にいる獲物を射て得る。
上爻(陰)弗遇過之,飛鳥離之,凶,是謂災眚。
会うべきものを越え、鳥が遠く飛び去る。凶。行きすぎの災い。
63. 既済・成った後
卦辞亨小,利貞。初吉終亂。
小さく通じる。正しさを守るとよい。初めは吉、終わりには乱れがある。
初爻(陽)曳其輪,濡其尾,无咎。
車輪を引き止め、尾を濡らす。慎重なら咎はない。
二爻(陰)婦喪其茀,勿逐,七日得。
女性が車の覆いを失う。追わなくても七日で戻る。
三爻(陽)高宗伐鬼方,三年克之,小人勿用。
高宗が鬼方を討ち、三年かけて勝つ。小人を用いてはならない。
四爻(陰)繻有衣袽,終日戒。
衣に破れがあれば繕うように、終日警戒する。
五爻(陽)東鄰殺牛,不如西鄰之禴祭,實受其福。
東の隣人の大きな犠牲より、西の隣人の簡素で誠実な祭りが福を受ける。
上爻(陰)濡其首,厲。
頭まで濡れる。完成後の油断は危険。
64. 未済・まだ途上
卦辞亨。小狐汔濟,濡其尾,无攸利。
通じる。小狐がほとんど渡り終えて尾を濡らす。最後を誤れば利はない。
初爻(陰)濡其尾,吝。
尾を濡らす。早まれば恥がある。
二爻(陽)曳其輪,貞吉。
車輪を引き止める。正しく守れば吉。
三爻(陰)未濟,征凶,利涉大川。
まだ整わないうちに進めば凶。大河を渡るには、相応の準備と決意を要する。
四爻(陽)貞吉悔亡。震用伐鬼方,三年有賞于大國。
正しく守れば吉で悔いは消える。長い征伐を成し遂げ、大国から賞を受ける。
五爻(陰)貞吉无悔。君子之光,有孚,吉。
正しく守れば吉で悔いはない。君子の明るさと誠に吉がある。
上爻(陽)有孚于飲酒,无咎。濡其首,有孚失是。
誠をもって酒を楽しむなら咎はない。頭まで濡れるほど度を越せば、誠があっても節度を失う。